昨年のナムトク線貸切列車の企画からおよそ2ヵ月後（2019年1月）、面白そうな企画が掲示板に書き込まれました。
「スパンブリー線の昼間に列車を走らせたい！」
車両の手配やタイ国鉄との交渉など企画は順調に進み、11月の3連休に運行することになりました。自分は指をくわえて待っていただけなので今回ご尽力いただいた2人の方に感謝感謝でございます。
まずスパンブリー線について
タイ国鉄南線の支線。大きな仏塔で有名なナコンパトムから列車で西に10分ほどにあるノンプラドゥック分岐駅が起点。この駅ではスパンブリー線の他にナムトク線も分岐しています。公式の時刻表に掲載してある駅はマーライメーン駅を除いて次の地図上の駅になります。実際にはこれ以外の駅にも停車している可能性があります。
以前は路線を延長して北線との接続も考えられていました。いつの間にか短絡線から盲腸線へ。超ローカル線として1日1往復が運行されています。しかもバンコク行が早朝4:20発、復路（往路かも？）のスパンブリー着は夜20:15。旅行客を拒むような時刻になっています。同じような路線としてはキーリーラッタニコム線があります。乗り鉄の心を揺さぶる時刻表。何もない最果ての地というイメージの路線です。通常、スパンブリーへはロットゥ（バン）や路線バスで行きます。またアユタヤからカンチャナブリへ抜ける道路沿いでもあります。
フアランポーン駅
2019年11月3日（日）朝7:00
まだ団体臨時列車は到着していませんでした。5番線から7:30発車ということにで写真を撮りながら駅を堪能していました。このフアランポーン駅も数年後には廃止になるという噂（たぶんまだまだ大丈夫だと思う）で写真を撮る参加者の方があちらこちらにいました。そうこうしていると7番線に変更という案内があり移動します。「タイ国鉄あるあるであーる」と思いつつ到着した3両編成の気動車に乗り込みました。
今回使われた車両は3両編成のTHN型気動車で前から1119、1117、1134の1100番台で統一されていて、かなりきれいな車両でした。車両は主催者の方が事前に要望を出していたようです。このTHN型はタイ国鉄が誇る日本製の超便利大活躍気動車でローカル線から長距離急行まで、あらゆる場面に利用されています。
列車は7:35頃出発。ここからまずはバンスー駅まで北線を走ります。駅構内のヤードを過ぎ、チットラダー宮殿前をゆっくり進みます。20分ほどでバンスー駅です。ここから南線へ。分岐する地点の線形変更がありポイントが新しいものになっていました。ここは廃止される箇所だと認識していたので南線は新線開通後も利用するのかな？とも思いました。まもなくチャオプラヤー川を渡ります。
隣には架線の準備がどんどん進んでいるライトレッドライン（南線の新線）も見えます。サラヤ駅を過ぎたところから上り線側※１に転線しました。車内が「うおっ？」となり何か起こる予感が走ります。
※１．タイ国鉄の複線は単線が2本走るダブル上下線なので正確な表現ではありません。ただし左側通行を主として運行しているので「上り線側」と表記しています。
その直後、保線作業用に使われているキハ58が現れます。
つぎつぎに登場するイベントに大興奮。ここでちょっと冷静になって時刻表の確認をしました。（自分のサイトタイ国鉄時刻表）
トンブリ発ナムトク行257レが先行しているため、追い抜くための転線のようです。1０分くらい走ったときでしょうか。先行列車が見えてきました。
見事に追い抜きます。ところが5分ほど走ったところでブレーキ。今度はさっきの257レが抜かしていきます。すぐに動きだした団体臨時列車も猛スピードで追いかけます。ものすごいデッドヒートのすえ追い抜かし、ナコンパトム駅に到着しました。
ナコーンパトム駅
2019年11月3日（日）9:05
列車は一番端っこの3番線（たぶん）に到着。ホームがないのでみなさんジャンプして飛び降りていました。超田舎育ちの自分は手動ドアの客車やホームが切れた場所での乗り降りを小さいころに体験しているのであまり驚かなったのですが都会育ちの方にはとても珍しかったようです。ナコンパトム駅では朝食と昼食の買い出しのため30分ほど停車します。終点のスパンブリー駅周辺には何もないとの情報だったので食料調達の時間が割かれていました。
ここでかっこいいサボがつきます。有志が作成したものが車両に設置されました！
そして隣のホームには後続のスラタニー行スプリンター43レがやってきて停車していました。
遅れている対向列車が到着すると、このスプリンターが発車。その後、我々の列車もスパンブリーに向けて出発となります。